コラム やりたいことが分からない
こんにちは、理事長の柿本です。
今日は学生を悩ます「やりたいことが分からない」という問題について考えたいと思います。
私自身もこの問題の経験者であります。
大学時代に「やりたいことが分からない」問題を抱えていました。周りもそうでした。ほとんどの人が「やりたいことが分からない」まま卒業し、そのまま会社に就職し、家庭を築き、子どもが生まれ、何事もなく人生を全うします。それは幸せな人生であるはずです。
そうなると、やりたいことが分からないことは問題とならないのではないかという指摘が聞こえてきそうです。
はい、問題ではないと私は考えます。むしろ、重要なのは選択に対する確信の度合いです。
例えば、中学生の時に美容師さんになりたいと思った男の子がいるとします。彼は早くしてやりたいことが見つかりました。美容の専門学校に進学し、国家試験に合格し、晴れて美容師になりました。一方で、四年制大学に進学した友人は特にしたい仕事がないと言っています。
しかし、続きがあります。
実際に働いてみると、なんと髪を切ることに喜びを感じませんでした。彼は営業会社へ転職してしまいました。今では楽しんでお客様に商品提案の毎日を過ごしています。
あまりに極端な話ですが、こうなるとやりたいことが見つかっていれば良いということではありません。
つまるところ、彼は美容師に対する確信の度合いが低かったのです。
そもそもどうして美容師になりたかったのでしょうか。
日本人にありがちなこととして、将来の夢を聞かれて職業を答える問題というのがあります。
Q. 将来の夢はなんですか。
A. 美容師です。
美容師になるのがゴールとなっているパターンです。
本質的には、美容師になって何がしたいかが大事です。
Q. 将来の夢はなんですか。
A. 人を綺麗にすることです。人は綺麗になると自信が持てるようになります。自信が持てると人生が楽しくなります。ぼくの手で綺麗にするお手伝いがしたいです。
では、人を綺麗にする仕事って何があるでしょうか。
美容師?エステティシャン?ネイリスト?
仕事は目的をかなえるための手段です。美容師になった男の子が人を綺麗にすることを目的にしていたら、きっと辞めてはいませんでした。何故なら確信の度合いが高いからです。
それに関連して、「3人のレンガ職人」という寓話があります。
レンガ職人に対して、何をしているの?と尋ねました。
1人目:レンガ積みだよ(目的がない)
2人目:家族を養っているんだ(生活が目的)
3人目:歴史に残る偉大な大聖堂をつくるんだ(社会的な目的)
有名な話で、よく企業研修で出てきますよね。
当然、確信の度合いが一番高いのは3人目です。
先ほどの美容師の男の子は何をしていたのでしょうか。
もしかしたら髪を切っていたのかもしれません。
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つばめに来ている子どもたちにいつも言っているのが、この社会的な目的を持ってほしいということです。大人になってから社会に貢献してください。つばめに携わっている大人たちは社会的な目的を持っています。その大人たちを見て、自分もそうなってください。
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(話は戻ります)
ほとんどの人が「やりたいことが分からない」まま卒業し、そのまま会社に就職し、家庭を築き、子どもが生まれ、何事もなく人生を全うします。それは幸せな人生であるはずです。
やりたいことが分からないのに、なぜ幸せな人生であるはずと言えるのでしょうか。
私の考察としては、やっていることが意識しない内にやりたいことになっているのです。仮にやりたいと思わずして始めたことでも、続けているうちに確信の度合いが高まっていきます。
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もしくはですが、他の選択へ切り替えることができなくなるケースがあります。年齢を重ねていくと実は人生の選択できるルートが減っていくのです。
海にいくか山にいくかという選択があるとします。
海にいった人はマリンスポーツや海水浴ができます。
山に行った人はスキーやキャンプができます。
それぞれ魅力的ですね。
海か山どちらかを選ぶと、どちらかは選べなくなります。
原則として人生において、海に一度行った人が山に行き直すことは難しいものなのです。
海に行くか山に行くか、この決定は重要であるので、どれだけ確信の度合いを高められるか、自分との対話が必要です。
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小中高と大学まではある種の決められたルートがあり、それに従うだけで良かった訳です。
しかし、社会に出ると自由に選択ができます。
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(余談)
いやこの表現には誤解があります。自由に選択できないことがあります。
ポケモンは必ずLv1からみんな始まりますよね。現実社会ではLv100から人生を始める人がいます。Lv100の人だと最初からマサラタウンで空を飛ぶを使えます。チートですね。
しかし、唯一平等なのもあります。時間です。時間の流れ方と1日24時間という事実は全ての人に平等です。
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(余談)
この社会は勉強をしてきた人に優しく出来ています。
私はそう言い切ってしまいます。そう思っているからこそ、無料塾をやっています。
勉強してきた人は、そうでない人よりも良い道を選ぶことができます。ここで言う良い道とは「豊かな人生になる確率が高いであろう」道です。世の大人のほとんどがそう思っているのだと推察します。だからこそ、大人は勉強した方が良いと言うのです。それについて子どもは反発します。どうして反発するのか、勉強するべき理由に納得感がないからなのか、大人が自分の過去を棚上げして言っていることにもしかしたら気付いているからなのか、答えは分かりません。
いずれにしても、私たちは勉強することで豊かな人生を歩んでほしいと期待しています。
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(話は戻ります)
小中高と大学まではある種の決められたルートがあり、それに従うだけで良かった訳です。
しかし、社会に出ると自由に選択ができます。
勉強をして大学生になると、たくさんの選択肢が目の前に出現します。だからなのか、「やりたいことが分からない」という問題が生じるのです。道が1つなら悩みません。2つ以上あるから悩むのです。
確信の度合いを高めることについては前述しました。
しかしながら、確信も何も、確信を持てるようなやりたいことがわからないんですという声が聞こえてきそうです。
ごもっともだと思います。
そこで、私から「やりたいことの見つけ方」をお伝えします。
あくまで持論なので再現性があるかは保証しません。ただ参考にはなるはずです。
例えば、世界的な映画監督はどうして映画監督になろうと思ったのでしょうか。
私は考えました。そして想像しました。
きっと子どものときに感動するような映画作品を見たに違いありません。ぼくも、こんな映画を作りたいと思ったのでしょう。
心を揺さぶるような原体験があって、そこからやりたいことが発掘されるのではないかと疑ったのです。
しかしながら、仮に100人に同じ映画を見せたとしましょう。
受け取る感性や情報はそれぞれ違います。
・ストーリー
・音響
・役者の演技
・CG
・セリフ
人によって何に目がいくか変わります。
岐阜城を見てもそうです。
ただの城だなという感想もあれば、織田信長は天下を目指しこの城から既存の価値観を打破していったのかと感想を抱く人もいます。
この違いが心を揺さぶるような原体験の創出を生むと私は考えています。
その正体はきっとインスピレーションです。
岐阜城から信長の姿が見えたように、映画から作品の素晴らしさに気づいたように、そこにインスピレーションがあります。
では、インスピレーションはどうしたら養われるのでしょうか。おそらく芸術に触れることが大事なのだと思います。
音楽を聞いて、それぞれのメロディーから感情を感じ取ることはないですか。
絵画を見ると、その絵の空間の中へ飛んでいくような気持ちになることはないですか。
それがインスピレーションです。普段からそのアンテナを立てておくことが大事です。そうすると、いざ現象が起きたときにインスピレーションが働いて、私のやりたいことはこれだ!となるのです。
アンテナを立ててないと何を経験してもインスピレーション無しに通り過ぎてしまいます。芸術などでインスピレーションを養っておくと、やりたい何かが見つかるかもしれません。
そして、それが社会的な目的にかなうものならば、より確信の度合いが高まるはずです。
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私は20歳にときに児童自立支援施設へ行き、子どもたちの現状を知りました。
そこからインスピレーションが生まれて、21歳のときに学習支援に携わります。
これがやりたかったことだと思いました。
それから9年以上が経ちましたが、確信の度合いが高いようで、現在まで続いています。
無料塾に出会えて良かったです。
仕事については迷走時期もありましたが、今は楽しくやっています。
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つばめに通っている子どもたちや大学生インターン生もきっとこれから「やりたいことが分からない」時期が来るはずです。
でも思うのは社会が若者に対してやりたいことを持つように強制しているのがしんどいですよね。君が将来やりたいことはなんだねって平然と聞いてきます。ストレスです。立派なハラスメントだと思います。
この記事を読んで参考になればいいなと思います。
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