#9 理事長の想い
こんにちは、理事長の柿本です。
このブログは、どんな想いで普段活動しているか、ありのままの気持ちを綴るものです。
今まで理事やボランティア講師の皆様に執筆していただきました。
凄く良い内容ですので、掲載されているバックナンバーを読んでみてください。
さて、今回は過去にあったことを中心に書いていきたいと思います。
私が学習支援を8年以上やってきて、感じたことが沢山あります。
その中から幾つかピックアップしてまとめてみました。
うさぎとぼく
【①同じこと】
大学生の時に学習支援をやっていた頃というのは、「所詮は学生がやっていることでしょ」と思われていました。
学習支援だけでなく、他のことでも、あからさまに感じる瞬間が幾度となくありました。
今振り返れば、それはそれで仕方のないことなのかもしれません。
何故なら、あくまで一般論として、大学生が何か始めても、詰まるところ社会人になれば辞めてしまう、そのようなケースが世の中にありふれているからです。
一方で、社会人になると少し状況が変わりました。
〈仕事をしながら週末にボランティアをする〉
ただそれだけのことで、「凄いね」って言われるようになったのです。
(急にハードル低すぎやしまいませんか笑)
でも、おかしいなと思いました。
大学生の時から、全く同じ気持ちで全く同じことをやってきました。
どうして受け取り方が変わるのだろうと疑問を感じずにはいられません。
私が大学生でも社会人でも、同じように子どもたちへ支援を届けているのにも関わらずです。
任意団体からNPOに変わったときもそうです。
メディアからの取材が殺到しました。
私のやっていることは8年間なにも変わっていないのに。
【②善意と悪意】
私が地元の春日井市で東海つばめ学習会を始めたのは24歳のことです。
当時は無料塾という言葉すら、知っている人がいない時代でした。
(今でこそ認知度が浸透してきた実感はありますが、当時は100人に1人が知っているくらいの肌感です。)
そのような時代に、若い兄ちゃんが何やらおかしなことを始めたぞと地元ではなったと思います。
母親から一番最初に言われました。
「無料で勉強を教えてもらえるなんて、こわくて誰も行けないよ。何かの団体に勧誘されるか、物を売られるか、まずもってそれを疑うよ」と。
ごもっとも、ではありつつも。
〈善意を悪意でないか〉と勘繰ってしまう、この社会に悲しみを覚えます。
しかし、社会に悪意が存在し続ける以上は宿命だと思うしかありません。
実際な話、最初は受け入れ生徒が全然集まりませんでした。
悔しかったです。
良いことをやろうと思っても、支援を届けられないのですから。
【③大人】
世の中には良い大人がたくさんいます。
悪い大人もたくさんいます。
どちらについても事実だと強く思っています。
大学卒業後、地元に帰ってきた私は1人で学習会の立ち上げを始めました。
久しぶりに地元へ帰ってきて、仲間が誰もいなかったのです。
1人でした。
そこで、インターネットで募集をかけました。
驚くことに、すぐ集まりました。
その中の1人が現在理事をしてくださっている奥村さんです。
世の中には、人や社会の為にエネルギーを使う大人がこれほどまでにいるのかと感激したこと、昨日のように覚えています。
学習会に来てくれる大人は格好いい大人です。
想いだけで、子どもたちの為に、報酬なしで、参加してくださっているのですから。
一方で、悪い大人もいます。
ある目論見で近づいてくる大人がいます。
自分の要求を通そうとする為に、寄付するよと言ってくる人がいます。
若い兄ちゃんがやっているということで、利用してやろうと画策してくる輩がいます。
有難いことに、私は早い段階で素晴らしい大人と出会えたので、悪い大人と交わることはありませんでした。
設立当初から関わってくださっている奥村理事と林顧問には本当に感謝です。
今でも私の元には色んな話が舞い込んできます。
当初と変わらず、良い大人としかお付き合いしません。
【④覚悟】
今でも忘れられないエピソードがあります。
2018年7月8日の日曜日、学習会を始めてから3か月後のことです。
いつものように、教室の鍵を開けて生徒を待っていました。
しかし、待てど暮らせど誰も来ません。
その日は生徒が1人も来ませんでした。
正直絶望しました。
時間もお金も労力も費やして、何にもなっていない事実に愕然とします。
(当時は寄付のお預かりがなくて、自分の財布から会場費を支払っていました)
やめる選択肢も当然ありました。
でも、数人でも来てくれる子が当時いて、私が諦めることで、その子たちを受け入れる場所がなくなっていまいます。
私が諦めることは、その子たちを諦めさせることにも繋がります。
覚悟を持ちました。
続けることにしました。
そして、もうあの日から5年が経過したのです。
今どうなったかというと、法人内で9教室が稼働し、全体で約130名の子どもたちを受け入れています。
きっと正しかったのです。
【⑤学び】
無料塾において学びとは、テキスト学習のように思えますが、実はそうではありません。
無料塾においての学びとは、将来の選択肢を広げることです。
詳しく説明すると、子どもにとって身近な大人というのは、肉親か学校の先生しかありません。
自分の将来で一番想像しやすいのは肉親です。
大人が何をしているのかどんな仕事をしているのか、大学生はどんな勉強をしているのかアクセスする手段がないのです。
しかし、無料塾というのは多種多様な大人が訪れます。
仕事でもあらゆる業種や職種の人もいれば、大学生でもそれぞれ専攻が違います。
テキストを学ぶことも大事ですが、子どもたちにとってはボランティア講師から聞く話こそが一番の学びになるのです。
【⑥注目】
意図的に注目を集めるよう行動してきました。
目を引く取り組みをしてみたり、露出を増やしてみたり、何でもやってきました。
決して、目立ちたかった訳ではありません。
むしろ、今も切実にそうですが、たくさんの人目につくことをすればするほど、しんどいです。
性分が内気なので、余計にしんどいです。
(社交的なフリはできるようになりましたが)
その上、おかしな連絡もたくさん来ます。
それでも、どうして注目を集めることをするかというと、答えは1つしかありません。
無料塾の認知度を上げるためです。
そうすれば、学習支援を必要とする子どもたちに情報が届く確率が上がります。
私たち運営者にとって苦痛な言葉があります。
それは「無料塾があるって知ってたら行ったのに」というものです。
そう言われる度に胸が締め付けられます。
私たちは、そのような子どもたちに来てほしいと思っているからです。
だからこそ、情報を届ける努力を怠ってはいけません。
私たちが多少しんどい思いをしても、発信し続けることが子どもたちの為になると信じて。
【⑦変化】
無料塾を8年やっていると、子どもたちの変化をたくさん見ることができます。
最初に教えた子はもう社会人です。
教え子から「就活のエントリーシートを見てください」とLINEが来た時には、飛び上がるように嬉しかったです。
時の流れは早いなぁと思います。
東海つばめ学習会でも長く関わっている子がいます。
現在は高校生で飲食店バイトをしています。
その飲食店には何度かお邪魔しました。
私が初めて入店した時のことです。
その彼が「あー先生!」と声をかけてくれました。
席まで案内してくれて、メニューを持ってきてくれます。
「何になさいますか」と、大学生でもしどろもどろな接客を、スムーズにこなしていきます。
「お待ちください」と言った彼は厨房へ戻って行きました。
その後、びっくりすることが起きます。
彼と一緒に店長が私の元へ訪れたのです。
彼は言いました。
「お世話になった先生です」と私を紹介してくれたのです。
それを受けて、店長はご丁寧に挨拶をしてくれました。
凄いことだなと驚きを隠せませんでした。
子どもの変化を目の当たりにした瞬間でした。
【⑧理事】
東海つばめ学習会には理事が4人います。
久野副理事長と奥村理事と前田理事です。
久野副理事長は私と同い年で、パッションが合う人だと感じています。それでいて、誰よりも子どものことを考え、地元豊橋への愛も非常に強いです。感性は独特ですが、私も人のことは言えません。
奥村理事は前出した通り、東海つばめ学習会がスタートした時点から関わり、当初は副代表で今は理事として支えてくださっています。常に会のコンセプトに沿った意見を出してくれるのが奥村理事です。
前田理事は、なんといっても人の気持ちも分かる人です。そして、誰とでも打ち解けられる才能を持っています。私とはタイプ的に真逆ですが、インターン生的に見ると、ボケとツッコミに見えるようなので、よしとします。前田理事あって東海つばめ学習会が更なる発展を遂げたと言っても過言ではありません。
他に運営者には、三重支部長の市川くん、彼は阪神つばめ学習会で一緒に活動した腐れ縁です。
岡崎教室長の光部さん、非行少年の矯正に携わった経験から、アツい想いを持っていらっしゃいます。
瑞穂教室長の藤田くんは、高校生の時に東海つばめ学習会のボランティアに参加してくれて、大学生となった今は地元で無料塾を開いています。
こんな素晴らしいメンバーと一緒に活動できることが幸せですし、ずっと変わらずやっていけたらなと思います。
NPO法人東海つばめ学習会
理事長 柿本知樹
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