シンポジウムレポート 谷
● 自己紹介
はじめまして。
インターン生の谷紗弥花です。
私は現在、南山大学国際教養学部に通っています。この学部では、SDGsに基づき国際問題について日本語や英語で授業を開講しています。
私が中学生のころ、将来の選択肢の幅を広げるために、いい高校に入学しようと勉強を頑張っていました。近所の有料塾にも通わせてもらい、私の成績は順調に伸びていき、晴れて志望校に合格しました。私はその当時、「子どもの貧困」や「教育格差」という概念を知らず、私が不自由なく好きなだけ勉強できていることが当たり前だと感じていました。しかし、教育に興味を持っている私は大学生になってやっとその格差の現状を知り、今まで見てこなかった教育の課題の現状を自分の目で見て考えたいと思うようになりました。また、私は、勉強をすれば人生の選択肢が増え、自ら選択する力が養われることによって、納得できる人生を歩むことができると考えています。この考えが東海つばめ学習会の理念である「ひとりでも多くの子どもが望み通りの人生を歩むこと」に一致していると感じ、参加を決意しました。
● シンポジウムを聞いて感じたこと
シンポジウムに参加をしてみて感じたことは、大きく分けて二つあります。
一つは、各無料塾によってやっていることが多種多様であることです。各無料塾の代表者の想いや、地域の子どもたちのニーズにより内容が大きく変わることに驚きました。
二つ目は、子どもたちの助けになりたいという、すべての代表者の熱意が伝わってきたことです。仕事に務めながら無料塾で子どもたちにできることはないだろうか、と熟考し意見を共有し合う姿が特に印象に残っています。二足の草鞋を履きながら子どもの未来に一生懸命に寄り添おうとしている大人たちを見て、単純かもしれませんが、かっこいいなと心から思いました。それと同時に、シンポジウムで出会った代表者の方々のように私も将来、未来を生き、未来の社会を支える子供たちを全力でサポートする活動をしたいと思いました。
● 印象に残った団体
印象に残っている団体は、ハロハロラボさんです。私は、無料塾は教室に登校をして机に座って勉強する場所だと思ってました。しかし、この無料塾ではオンラインで開校しており、オンラインならではの活動をしてるところに衝撃を受け、印象に残っています。また、イベントも多彩で、ワクワクしながら勉強を進めることができる環境だと感じました。私は、勉強をするうえで「ワクワク」はとても大事だと思っています。勉強はつらいこともありますが、「ワクワク」が一緒に付いてくることでモチベーションになり、勉強に取り組みやすいと思います。楽しいという感情は、取り組むすべてに大きな影響を与えるということも、子どもたちは体感持って学ぶことができると思うので、ハロハロラボさんの活動は素敵だと感じます。
● シンポジウムに参加して、自分の考えに生じた変化
無料塾は、ただ勉強する場所ではないということに気づきました。無料塾に通う子供たちが抱える悩みを共有できる場所であり、そこに価値を感じている子どもたちにとってなくてはならない居場所であることを知りました。だからこそ、無料塾は子どもたちにとって安心を与えることができる場所であるべきだと感じ、運営方法も子どもに全力で寄り添う形になるのだと実感しました。私も東海つばめ学習塾でボランティアもしているので、ただ勉強を教えるのではなく、また私と話したい、また学習塾に来たい、と思ってもらえるように接していきたいと思いました。
● 無料塾の課題について
私は特に、二足の草鞋を履きながら無料塾を開校することの厳しさをお話をする中で感じました。平日は仕事をし、主に週末に無料塾を開校すると運営する方々が休みづらいとおっしゃっていたのを聞いて、まずここを改善するべきだなと感じました。運営をする方々が心身ともに健康でいなければ塾を続けられることは難しく、子どもたちが心配をしてしまうかもしれません。そうすると、無料塾に来ても子どもたちが勉強に集中できる時間が少なくなってしまう可能性があります。また、無料塾が主に週末にしか開校することが難しいため、子どもたちの来校できる日時が限られてしまい勉強のモチベーションの維持や子どもたちの居場所を提供できる時間も限られてしまうことが課題だと感じました。
● 無料塾の今後について
日本では、まだ教育が社会に大きなインパクトを及ぼすとは考えられていないのではないかと思っています。例えば、税金の使用内訳では、教育費は全体の5%とかなり低いです。教育費の割合が今でも低いままなのは、教育が国にいい影響を与えづらいと考えている人が多いからだと推測しています。以前教育に関心を持っている方とお話をした際、政府に教育の重要性をただ訴えるのではなく、私たちが子どもたちの教育の活動を行って成果を見せ、証明することで、社会的重要性を多くの人に理解してもらうことが必要だとお話をしました。無料塾は、多くの人が見落としてしまう、勉強をすることに対し困難を強いられる子どもたちをターゲットに運営をしており、そこに提供するべき価値があり、その価値は子どもたちに届いています。この活動を続け、広げ、繋げていくと、多くの人が無料塾の価値を理解していくのではないかと思います。そうすると、政府にも影響を与えて日本全体が子どもの貧困という課題に関心を抱き、解決しようと本格的に動き出すのではないかと考えています。たしかに、教育が社会にインパクトを与えるには時間がかかります。しかし、地道に与えたい価値とともに教育の活動を続けることで、社会にいい影響を与えます。無料塾は存在し続けるべきだと感じるのと同時に、全国に無料塾を広げ続けるべきだと思います。
インターン1期生
谷 紗弥花
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